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谷間の百合

taninoyuri.exblog.jp

2014年 12月 22日 ( 1 )

「政治的人間」と「幼い人」

来春には川内原発が再稼働し、高浜も安全審査をクリアーして稼働することになるのでしょう。

周辺の自治体の首長などは、避難計画が万全ではないと反対していましたが、わたしはそんな問題だろうかと思いましたが、首長としてはそう言わざるを得ないのでしょうか。

ストレートに原発反対とは言えないのでしょう。

高浜で老人が、この町には全員を避難させるだけのバスがないと言ったときも、そんな問題ではないだろうと思いましたが、その老人にとっては、避難はそのときだけでまたすぐ戻れるくらいの認識だったのではないでしょうか。

それというのも、フクシマのことがまったくといっていいほど伝えられていないからです。

高市早苗さんがフクシマでは一人の死者も出ていないと言って問題になりましたが、(それも被爆による死者と言えば問題はなかったということらしいですが)そういうこともあって、だれ一人死んだ人はいないというのが国民のコンセンサスになっているようです。

電車から
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もう一週間以上前になりますが「ベターを選ぶ知恵」と題する曽野綾子さんの記事がありました。

曽野さんは原発推進派です。

それが現代を生きる人間の科学的態度だという高説?の持ち主です。

そして、それに反対する者は、人間把握において「幼い」そうです。

「最近、歯切れのいい、政治的で人道的なことを言い切れる人は、人間把握において幼い人であることがよく見える」


ぜったいに戦争してはいけないという国民への遺言ともいえるメッセージを残して亡くなられた菅原文太さんなどは、曽野さんからみれば「幼い人」にみえるのでしょうか。

戦争反対、原発反対を言う人間は幼くて、青臭い左翼的人間に見えるのでしょうか。

それに比べて自分たちは現実主義的で、リスクも引き受ける覚悟のある大人の人間だと言いたいのでしょうね。

それにしても、曽野さんの口から、相手を批判するために「政治的」という言葉がでてくるとは思いませんでした。

わたしは、曽野さんほど政治的な人も珍しいと思っていましたから。

もっといえば、体制べったりの御用評論家だと思っていましたから。


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リスク・マネージメントということは、完全にリスクをなくすということではなく、リスクをできるだけ減らすことへの努力なのだ。

と言っておられますが、フクシマはその努力をしていましたか。

それどころか、事故対応のマニュアルさえなかったではありませんか。

曽野さんはフクシマへ取材に行って、リスク・マネージメントについて質問もせず、ただ、粛々と作業が進んでいると書かれただけなのです。

リスクは「想定」されていなかったに等しいのです。

事故当時、「想定外」ということがさかんにいわれましたが、わたしは責任転嫁だと思いました。

「想定外」ではなく、「想定」すらされていなかったということです。

驚くではありませんか。

あれほど「安全」だと言われていたのですから、よほど安全管理が完璧で、リスクへの対応も万全だと思っていたのに、当事者たちが「安全神話」の上で安心しきっていたということだったのですから。


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また、曽野さんは

事故が無くて済む便利なものはない

として、原発を飛行機や自動車と同列に置いて論じておられるのはあまりにも「幼い」とは思われませんか。

その決定的な違いは歴然としていてここに書く必要もありません。

フクシマの事故を受けて、ドイツとイタリアが原発全廃に踏み切ったのは、リスクが引き受けられるようなものではないと判断したからではありませんか。

日本のように、上(為政者)も下(国民)も危機意識がない国が原発など持つべきではありませんでした。

再稼働へ「ノー」を突き付けた福井地裁の判決は素晴らしいものでしたが、わたしが一つ疑問に思ったのは、つぎの箇所です。

しかるところ、大きな自然災害や戦争以外で、この根源的な権利(人格権)が極めて広汎に奪われるという事態を招く可能性があるのは、原発の事故のほかは想定し難い。

自然災害や戦争によって「山河」そのものが喪失することはありません。

元の山河に戻れなくてもまたそこで生きることはできます。

そして、戦争や災害の記憶が風化することはあっても、原発事故の被害は、後世の人類が背負いきれないような負の遺産となって風化を拒み続けるのです。


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by michi-no-yuri | 2014-12-22 12:17 | Comments(2)