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谷間の百合

taninoyuri.exblog.jp

ようやく犠牲者全員の名前が揃いました。

きのう 京アニの犠牲者全員の名前が公表されましたが、公表に至るのに前代未聞の不可解な経緯があり、それは今も続いています。
会社側は、10名の名前の公表をもって終わりにするつもりだったようです。
在京のメディアが「事件の全体像が分からない」として名前を公表するように府警に申し入れたところ、翌日(当日?)にはそれに反対する署名集めを立ち上げた人がいて、なんと一日で9000人の署名が集まったのです。
普通、こんな迅速な反射的な行動はとれないと思うのですが、不思議でした。
今回の公表に会社の弁護士は遺憾の意を表明し、ネットにはそれに賛同する声がたくさんありました。
しかし、遺族感情を盾にとって公表を拒んできた会社の主張は、きのうの遺族の記者会見でその一端が崩れました。
きのう公表された名前の中に石田敦志さんの名前がありましたが、その父親の会見での言葉には胸を抉るものがありました。
記者会見を開いたのは、会社や他の遺族との間にあるだろう軋轢を振り払っても言わずにいられない気持ちがもう持ち堪えられなかったからではないかと思いました。
父親の言葉は、わたしが心の中で叫んできた言葉と同じでした。
父親は、高いハードルを越えて夢を実現させた息子が自慢でした。
エンドロールに息子の名前を見るのが楽しみだったと。
この気持ちは他の遺族も同じだったはずなのに、どこで違ってしまったのでしょうか。
エンドロールに名前を見たときの喜びはだれにも想像できます。
会社はそういうクリエーターの気持ちが分からなかったのか、あるいは、分かっても隠さなければならない事情でもあったということでしょうか。
石田さんは、事件の6日後に息子の遺体と対面し確認しています。
それなのに10人の中に名前がなかったのはなぜなのでしょう。
31歳の若さで亡くなった息子について父親は、
「人生にはこんなに苦しくて、悲しくて、悔しいことがあるとは思いもしなかった。胸が張り裂けそうだ。」
と苦しい胸をうちを絞り出すように語り、続けてこう言いました。
「京アニのクリエーターは選ばれた方々。息子はじめ希望と誇りをもって仕事をしていたと思う。
それぞれの名前を持っています。それが35分の一で果たしていいのか。ほかの方々への批判ではありません。
クリエーターで名前があり、頑張ってやっていた人たちに、残されたものができることは、多くの人に記憶していただく、忘れないでくださいということしかできないのです。」



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京アニ側は、名前を公表されると被害者や遺族のプライバシーが侵害される恐れがあると言いましたが、そういうことを言えば言うほど、世間の人はよほど知られたくないプライバシーでもあるのかと想像するのではありませんか。
在京のメディアはこれが前例になってはいけないと言いました。
何でもプライバシーの一点で隠されていく恐れがあるからです。
名前を出すか出さないかはメディアが判断することで警察のすることではないということを今回知りました。
わたしは、個人の名前は、遺族や会社や警察が勝手に扱えるものではないと思います。
基本的人権のいちばんが名前の尊重ではないかと思っています。
会社側には不審しかありません。
名前が公表されたことを遺憾だと言いましたが、なんでそんなに上からものをいうのでしょう。
石田さんの父親は、遺族の中には名前を出さないでほしいと言う人がたくさんいて、その気持ちも痛いほど分かると言いましたが、わたしには痛いほど分かることが何を指しているのかが謎でした。
何か特別な事情があるのでしょうか。
最後に父親ははこう言いました。
「バッシングがあるかもしれなないが、われわれは頑張る。石田敦志の名前を出したい。それがいちばんの願いです。」
親ならそう思います。
そこにしか救いはないではありませんか。
バッシングがあるかもと言っていることに事件の謎を感じるのですが、ほんとう不可解なことが多過ぎます。
名前を見てはじめて亡くなった人たちが実在していたことがリアリティをもって胸に迫り慟哭の思いがしました。
助かった人が40人前後いると思うのですが、その人たちの姿も闇の中です。


ようやく犠牲者全員の名前が揃いました。_c0243877_10141245.jpg










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by michi-no-yuri | 2019-08-28 10:17 | Comments(2)
Commented by y-ohkubo at 2019-08-30 22:02
こんばんは、僕も犠牲になられた人の名前が公表されてよかったと思います。でも、それで、実名報道は問題だという意見が出ているようで、僕には理解できません。その意見に中には、公開すると、マスメディアが押し掛けるからという意見がありましたが、いまどき、そんな遺族の家に無礼な取材に行くようなマスメディアなど、あっても少ないと思います。むしろ、非公開にしても、ネットユーザーに犠牲者を特定され名前が公表され、非公開にしていたことで、変な邪推を招いて、ネット上で誹謗中傷されることの方が、よほど問題だと思います。そういうことを防ぐためにも、名前とか年齢は公表すべきと考えます。それを非公開にすべきという意向が働いたというのは、会社側の意向ではなかったのかと言う気がします、犠牲者の名前を非公開にして、今後の賠償とか補償の問題を会社主導にしたいから、そういう世論に誘導したような気がします。何の根拠もない、単なる下衆の勘繰りですけど。
Commented by michi-no-yuri at 2019-08-31 10:01
y-ohkuboさま
なぜ、今回に限って実名報道がこれほど問題になるのかがわかりません。
おっしゃるように、なにかあるのではと不審に思うのは当然でしょう。
マスコミによって日常が奪われるというのも詭弁に聞こえます。
遺族によってはマスコミを通じて訴えたいと思っている人もいます。
いまのマスコミは世論のバッシングを恐れてか取材には慎重です。
それにいつまでも同じ事件を追っかけることはしません。
会社側が何を考えているのか、一度記者会見を開いて疑問に答えるべきだと思います。
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