総理のイラン訪問に成果がなかったのは厳然たる事実ですが、それでも、ハメネイ師に会えて、プーチン大統領に準ずる扱いを受けたことは大きな成果だったと強弁する人がいます。
しかし、仲介するというのに、総理は手ぶらで行ったというか行かされたのです。
普通なら綿密な打ち合わせがなくてはいけないのに、アメリカはただ突き放したようなものです。
アメリカがほんとうに仲介を頼んだのなら、なんらかの条件、譲歩案を持たせるはずです。
しかし、アメリカは総理になにも言質を与えず、総理も言質を取りませんでした。
それどころか、総理がイランに行ったところでトランプ大統領は追加制裁を発表したのです。
アメリカはそこまで日本をバカにしました。
しかし、それも総理の身から出たサビです。
総理が持っていたのはトランプ大統領の親書だと言う人がいますが、親書とは、両国がいい方向に行くことを願って書くものではありませんか。
追加制裁を課すトランプ大統領にそういう意思があるとはとても思えません。
もし、タンカーの攻撃がアメリカの仕業だとすれば、そのために総理は利用されたということです。
トランプ大統領のイランがやったという発表を受けて、打てば響く感じでイギリスが同意しました。
軍事的にはいつも米英は一体なのです。
イランに行く前の総理の表情は困惑と苦渋に満ちていたように見えました。
よその家を訪問するのにお土産も持たされずに行かされるのが、どれだけ心細く屈辱的な気持ちになるかはだれにもよく分かるでしょう。
総理が侮辱されるのはいいのです。
しかし、日本は天皇がいる伝統と文化のある国です。
そういう国への侮辱は許せません。
主に自民党が築き上げてきた外交努力を自分のところの総理が無に帰してしまったことに自民党はまだ気が付かないのでしょうか。
ひとりの人間によって、戦争の反省に立って積み重ねてきた外交努力がすべて壊されてしまったというのに。
イランがタンカーを攻撃することでどんなメリットがあるのでしょう。
アメリカがイランのせいにするのは、いつもそうですが、イランはこういうことをする野蛮な国だという印象操作ができるからです。
世界のメディアを握っているのはアメリカ(ユダヤ)ですから、どんな情報操作もお手のものです。
フセインやカダフィの息子たちはみんな狂犬みたいな人間だとマスコミが盛んに報じたせいでみんながそれを信じました。
しかし、アメリカが強権に胡坐をかいて同じことを繰り返してきたことで、さすがに騙される人も少なくなりました。
ニューヨーク.タイムズが「(安倍総理のイラン訪問の)影響力は小さいが、失うものも少ない」と書いたそうで、なんであんたにそんなことが言えるのかと腹が立ちます。
失うものがほんとうに小さかったのか、それとも大きかったのかは、これから目に見えて分かってくることではないでしょうか。
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