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谷間の百合

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アンジェイ.ワイダ監督とポーランドのこと。

アンジェイ.ワイダ監督の訃報を新聞で見て、まだ存命だったことが意外に感じられたのは、実に長い期間に亘って映画を撮り続けてこられたからかもしれません。
抵抗3部作と言われている「世代、地下水道、灰とダイヤモンド」などは作られてから60年は経っているのではないでしょうか。
後の2作品は見た記憶があるのですが、断片的なシーンが浮かぶだけで、映画の骨格をなす社会的、政治的背景など当時はまったく分かりませんでした。
小説と同じで、映画を見ながら別のことを考えたりしているせいかもしれませんが、ほんとうに覚えていることが少な過ぎる。

わたしがポーランドという国に惹きつけられるのは、愛読書というにはあまりにも重い本「ワルシャワ.ゲットー」を常に座右に置いているからです。
ゲットーや絶滅収容所のほとんどはドイツ占領下にあったポーランドに作られました。
ポーランドの歴史はロシア、ドイツという強国に蹂躙された歴史でもあります。
島国の私たちには想像できませんが、たとえば、中国や朝鮮と国境を接している感覚だといえば少しは想像できるでしょうか。


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ロシアとの戦争は中世から何百年と続いてきたそうです。
ロシアのことを書いた本で、帝政ロシアの末期のことだと思いますが、ロシアで捕虜になり死刑を宣告されたポーランドの義勇兵たちは、誇り高く陽気で、まったく死を恐れるところがなかったと書かれていました。
ショパンの曲には、まさにそういうポーランド人の精神が横溢しているようです。

民主化運動を象徴したワレサ元大統領は今どうしているのでしょう。
いまのポーランドのことが知りたい。

作品の評価は分かりませんが、わたしには「愛の記憶」という映画がいちばん記憶に残っています。
残っていると言っても、小さな野の花が野原一面に咲いているシーンだけです。
わたしが重い腰をあげて映画館に足を運んだのは、多分、ポスターにあったその野原を見たからだと思います。
その野原に咲く小さな花が、ポーランドの悲劇を象徴しているように感じたのかもしれません。
日本も野に咲く小さな花のような国でいいのに。
なにをトチ狂って強国になろうと思うのでしょうか。


アンジェイ.ワイダ監督とポーランドのこと。_c0243877_10222479.jpg










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by michi-no-yuri | 2016-10-12 10:27 | Comments(0)
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