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谷間の百合

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二十一日 その一  春。

春です。

去年のいまごろ、行きつけの喫茶店の三十代後半のウエイトレスたちは、恋がしたい、恋もせずにこのまま死ぬのは嫌だとさかんにわたしに訴えました。

ところが、秋も深まったころ、いまも恋がしたい?と訊くと、彼女らは、えっ、なんのこと?というような顔をしたのです。

やはり、春には魔ものがいます。

そのときは黙って聞いていたのですが、後日わたしは恐る恐るこう言ってみたのです。

いい恋なんか万に一つもないこと、

遅かれ早かれ終わりがくるのだけど、いい別れなんて万に一つもないと。

彼女らは、そんなことはないという顔をしましたが、経験がないのですから当然です。

(なんか、わたしが経験あるみたいですけど)

しばらく行っていませんが、また彼女らの胸は恋を夢見て疼いているのでしょうか。

(言っても無駄ですが)恋に恋しているときが華ですよ。


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さくらも終わり束の間の静寂が訪れています。

新緑はさくらほどこころを乱しませんが、やはり掻き立てられるものがあります。

田に水が引かれ、鏡のような水面に白い雲が浮かぶころが好きです。

そこかしこからウグイスの囀りが聞こえてきます。

しかし、それもほんの束の間です。

先日、犬の散歩でシャガの花を見かけました。

自分の口から言うのもなんですが、わたしは密かに自分のような花だと思っているのです。

日陰にしか咲きません。

ひまわりも嫌いではありませんが、わたしにはただただ眩しくて。

華奢な体型でもないのに、わたしを見て「華奢な人ですね」と言ったひとがいました。

その人はわたしの内面の脆さ、はかなさを見たのだと思いました。

わたしの記事の文章からは想像できないと思いますが、そういうことなのです。

柿の葉も大きくなってきました。

わが家のさくらは、わたしが身をかがめるほど低いところで大きく枝を広げています。

したがって木陰の面積が広いのです。

木陰の上でこもれびが揺曳しているさまを見ているときがこの世の至福を感じるひとときです。


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by michi-no-yuri | 2014-04-21 11:05 | Comments(0)
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