「反戦の家づくり」の
《なぜ、震災を境に日米同盟は激変したのか》を読むと、地獄に突き落とされたような気持ちになります。
これからどうなるかは未知数ですが、ここに書かれていることは、現実その通りになっていることを嫌でも思い知らされるからです。
恐ろしいのは、「激変」したのは震災のせいではなく、震災も含め最初からそのように仕組まれていたのではないかということが暗闇の中からおぼろげに浮かびあがってくることです。
震災後3か月後の「2プラス2」すなわち、日米双方の外務、防衛大臣の安保協議において、米軍と自衛隊の「一体化」ということが強調されるようになったということです。
「一体化」とはどういうことかよく考えてほしい。
分かりますか?「一体化」の意味。
日本がアメリカになるということです。
TPP、集団的自衛権の行使で「一体化」が完成するのです。
政府も自衛隊もそれを良しとしているのです。
自衛隊の上層部は国民に顔を見せないので、何を考えているのか分かりませんが、「一体化」になんの疑問も違和感ももっていないようです。
嬉々として?アメリカの傭兵になるようです。
わたしは自衛隊を許さない。
人に対して発動させたことがないわたしの「怨念」は、純粋培養されて100%温存されています。
その100%の恨みをわたしはどこに向けようか。。
以下に、「反戦の家づくり」の記事を、長いので二回に分けて転載します。
なぜ震災を境に日米同盟は激変したのか
私は専門家でも研究者でもないが、外務省の資料などを見る限りでは、2011年3月11日の東日本大震災を境に、日米同盟の内容が激変しているように見える。
一番分かりやすい資料は、日米両国の外務大臣(国務長官)、防衛大臣(国防長官)の会議である、日米安全保障協議委員会、いわゆる「2+2」であろう。
外務省のHPには共同声明などの資料が公開されている。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/usa/hosho/2plus2.html
震災の前は、2010年1月と5月に開催されている。
1月は日米安保条約50周年であり、5月は沖縄の基地返還のことだけを話し合ったようだ。
ここでは1月のほうを見てみる
日米安保署名50周年にあたっての共同発表
この2ページ目の冒頭にこのように書いてある
「日米同盟は(略)平和と安定を東アジアにもたらしている。」
「この地域における最も重要な共通戦略目標は、日本の安全を保障し、この地域の平和と安定を維持することである。」
「日本及び米国は、(略)米軍と日本の自衛隊との間の協力を含め、協力を深化させていく。」
ここで特徴的なのは、
1.日米同盟が対象とする地域は、基本的に「東アジア」
2.日米同盟の第1の目的は「日本の安全保障」
3.米軍と自衛隊は「協力」の関係
ということだ。これが、3.11後はどのように変化するか。
直後に行われたのは、2011年6月21日だ。まだ3ヶ月しか経っていない。
より深化し,拡大する日米同盟に向けて:50年間のパートナーシップの基盤の上に
「閣僚は,アフガニスタン及び中東における過激主義に対する(略)取組に留意した。これらの課題は,地域の安全及び安定の維持における日米同盟の不可欠な役割のみならず,日米両国が協力を深化させ,拡大させる必要性を強調するものである。」
これは、日米同盟の対象地域を、東アジアとかアジア太平洋という漠然とした言い方から、明確に中東を含めるという拡大宣言である。
すでに自衛隊をイラクに派兵したとはいえ、名目上は復興支援であり米軍と一体にならないことが条件だった。
同盟として中東を対象にする以上は、もうこんな眠たい話は許さない ということだ。
さらに、2012年6月の声明ではこう書かれている。
「二国間の計画を精緻化する努力を行う」
「二国間の政府全体のメカニズムを強化し,米軍及び自衛隊による日本国内の施設への緊急時のアクセスを改善する」
これまでの「協力」関係を越えて「一体化」を進め、緊急時には米軍が日本の施設を自由に使えるようにする。
「能動的,迅速かつシームレスに地域の多様な事態を抑止し,それらに対処するために,共同訓練・演習を拡大し,施設の共同使用を更に検討し,情報共有や共同の情報収集・警戒監視・偵察活動の拡大といった協力を促進する」
シームレスという用語は2010年の防衛大綱で使われたのだが、これは平時と有事の継ぎ目無くという意味で使われていた。
ところが、ここでの意味は、米軍と自衛隊の継ぎ目を無くす という意味にとれる。
さらに
「政府横断的なセキュリティ・クリアランスの導入やカウンター・インテリジェンスに関する措置の向上を含む,情報保全制度の更なる改善の重要性を強調した。」
これはまさに、今進められようとしている秘密保全法そのものだ。
米軍と共有する情報が、自国民に漏れないようにするための法律を早く作れと書いてある。
これら以外にも、全体的に日米「一体化」ととれる話がちりばめられている。
集団的自衛権という言葉は避けられているが、まさにそのものである。
前回の声明からうける印象とは全然違うのだ。
■■ そして日米共同声明
震災から1年以上すぎた5月1日にオバマと野田の日米会談が行われた。
発表された、日米共同声明には、このように書かれている。
日米共同声明:未来に向けた共通のビジョン
「2010年の防衛計画の大綱の下での日本の動的防衛力の構築と,米国がアジア太平洋を重視する戦略を含め,我々はそれぞれのコミットメントを実行していく。
米国によるこの戦略は,地理的により分散し運用面でより抗堪性のある兵力態勢を地域で実現しようとする取組を伴う。」
要点は、「自衛隊が動的防衛力の名の下に、アジア太平洋地域の緊急事態に日米同盟軍として対応する」 ということだ。しかもそれは、「米国による戦略」に沿っておこなわれる。
ここまで来ると、協力とかではなく、自衛隊は米軍の手弁当の傭兵部隊になる ということだ。
これに先立つ4月27日の2+2でも、
日米安全保障協議委員会 共同発表
「アジア太平洋地域における平和、安定及び繁栄の促進のために協力(略)を強化することが極めて重要である」
「この文脈で、米国政府は、訓練や演習を通じてこの地域の同盟国及びパートナー国がその能力を構築することを引き続き支援する」
と、日米同盟は、二国間同盟ではないと宣言されている。
アジア太平洋(中東含む)の米国をボスとする軍事パートナーシップの一環である、と位置づけられた。
注意したいのは「同盟国及びパートナー国」と言っていることだ。同盟国とパートナー国の何が違うのか。
より一体化した国がパートナー国と言うことなのだろう。日本は、「格上げ」されたわけだ。
集団的自衛権の行使は、「宣言」されるまえに「実体」ができあがっている。
(つづく)
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