帰省していた息子が、最寄の大型スーパーのトイレに入ったところ、そこにマムシがいたんだそうです。
かれは用心深い性質で、大の方のトイレに入るときは必ず天井から四隅をさ~っとチェックするのだそうです。
それで、便器の後ろに潜んでいたマムシに気がついたのですが、いたずらにしては余りにも悪質です。
普通、なんの気なしに入って用を足しているときときに足やお尻や大事なところを咬まれでもしたらどうするのですか。
わたしは思わず「あんたで良かった」と言いましたが、というのも、かれほど用心深い人間が世間にそういるとは思えなかったからです。
トイレに不審物が置かれていたというニュースもよく耳にしていましたし、それに、ゴキブリやムカデやネズミも出没します。
わたしも喫茶店のトイレで、便器の中から飛び出してきた大きなドブネズミに出くわしたことがあります。
その前の晩、どういう流れだったのか思い出せませんが、話題が小野田寛郎さんのことになりました。
わたしは、小野田さんは一瞬も油断されたことがないのではないか、たとえ睡眠時でも、と思いました。
これくらいならいいだろう、とか、ちょっとくらいならいいだろうという気の緩みが命取りになるのであり、小野田さんはそういう気の緩みを決して自分に許されなかったのだろうと思いました。
いちばん強く小野田さんのこころを占め、それによって生還を果たすことができたのは、任務遂行という強固な意志だったようですが、それは中野学校の教育というよりも小野田さん個人の資質だったのではないでしょうか。
それにしても、日本人はすっかり安全神話の上に胡坐をかいていて、なにかアクシデントがあれば安全管理の責任を追及するだけで、決して自分の非を認めることはありません。
赤ちゃんを連れて海外に遊びに行くのも普通になりましたが、その無防備さには呆れかえります。
それもこれも、結局は武士道精神が廃れたことが、日本をここまで締まりのない、だらしのない国にしてしまったということだと思います。
どうか、みなさんもトイレに入るときはくれぐれもお気をつけください。
(もちろん、通報によりマムシは捕獲されたということです)
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