福島第一原発の吉田元所長が亡くなられました。
きのう、そのニュースを聞いたあと、吉田所長のビデオによる発言になんども目を通しては涙を止めることができませんでした。
(いま、この発言記事が削除されまくっています)
よく考えてみると、所長が撤退せずに現場に残ったのは、現場責任者としては当然といえば当然のことなのです。
もし、あそこで現場を放棄していたら、実際の被害は想像を絶するものになっていたでしょうし、それ以上に、日本はその時点で「道義無き国」の汚名を永遠に残すことになったでしょう。
あのときが、政治によって、徹底的に毀損された日本の「道義」が、辛うじて生き残った瞬間だったのです。
きのうあたりから、海に近い場所から濃度が90倍のセシウムが検出されたことを各メディアは報じています。
それ以前からも、原発付近の井戸から高濃度のセシウムが検出されたことがニュースになっていました。
ところが、遊説の第一声に福島を選んだ安倍総理は何と言ったでしょう。
今年から海水浴ができるようになったんですよと胸を張ったのです。
これは事実でしょうか。
また、自分がこんなに元気なのは、毎日お昼に福島産のお米を食べているからですと言いました。
これは事実でしょうか。
そして、最後にこう言いました。
「何よりも、福島の子どもたちの健康を守っていく。このことをお約束申しあげる次第です」と。
「お約束します」というのが口癖なのですが、TPP断固反対と言った総理の約束などだれが信じるでしょう!
これほど言葉の軽い人間は滅多にいるものではありません。
逆説的にいえば、政治家だからそれが許されているということで、実社会では信用がないどころか相手にされないレベルの人間です。
きょうのニュースで、IMFは今まで支持してきた「アベノミクス」を「世界経済の新たなリスク」だと言い出しました。
総理にとっては、次々とネガティブな材料がでてきているのに、どこ吹く風なのか、あの悪評まみれの「ワタベ」の社長の立候補を取り下げないのは、よほど選挙に自信を持っているからでしょうか。
おそらく、自民党が圧勝するのでしょうが、わたしはもうどうでもよくなりました。自民党もそう長くないように思えるからです。
吉田所長の発言から
部下は「そこに(現場)飛び込んで行ってくれた。ほんとうに飛び込んでいってくれた連中がたくさんいる。私が昔から読んでいる法華経の中に、地面から菩薩がわいてくるというところがあるが、そんなイメージが凄まじい地獄のような状態で感じた」
原発に残ったメンバーの名前をホワイトボードに書くように指示したのは
「最後まで残って戦ったのはこんな人間だぞということを残しておこう」という気持ちからだったと。
わたしたちは、こういう人の存在を感じることなく呑気に生きていますが、何十年後かに、多くの人がホワイトボードの前で、深くこうべを垂れる日がくることを信じたいと思います。
吉田所長のご冥福をこころよりお祈りします。
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