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谷間の百合

taninoyuri.exblog.jp

何が欠けたら人間ではなくなるのか。

先日、衛星で「ハンナ.アーレント」という映画の後半だけ見ました。
ナチス(アイヒマン)の犯罪を徹底的に追及した思想家です。
映画の中でかの女が繰り返し言っていたのが、「考える」ことの重要性でした。
20世紀最大の「悪」は「思考不能」の人間によってもたされたと。
そのとき、日本にもぴったり当てはまる人間がいると思ったのですが、ふと、それは誰にでも当てはまることではないかと思いました。
「考える葦」とは、何を考えるべきと言っているのでしょうか。
アーレントが何を考えよと言っているのかは本を読めば分かるのでしょうか。
アイヒマンだって考えていたのです。
いかにしたら、総統閣下の命令を忠実に遂行できるか。
いかにしたら、効率よくユダヤ人を移送、殺戮できるかと。

しかし、これは今の企業が考えていることや体質と同じではないかと思って、わたしは恐怖を感じました。
若い女性を死に至らしめるほど働かせることが、ホロコーストの道に繋がっているのではないかと思ったのです。
人を雇い入れるということは、その人の生活を保証することです。
憲法は「健康で文化的な最低の生活を営む権利」を謳っていますが、くたくたになって後は寝るだけという生活のどこに健康や文化が入り込む余地があるというのでしょうか。
相手を人間だと見ていないからできることです。


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誰だって考えているのです。
いい学校に入り、いい会社に入るにはどうすればいいかをみんな考えているのです。
人が「考える」とはそういうことです。
しかし、もうそういう考えに疲れませんか。
根性なしのわたしは早々と疲れて競争から降りましたけど。
結局、損得ばかり考えるからかえって不幸になるのではありませんか。
わたしも損得を考えて生きているときは幸福ではありませんでした。
わたしは、「考える」ことがそんなに重要だとは思いません。
考えるより「感じる」「知る」ことだと思っています。
「畏れを知る」「情けを知る」「恥を知る」ことの方がよほど大切というか、人間であることの証明だと思っています。
それとまったく無縁な人間がわが総理です。
人間失格者です。


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by michi-no-yuri | 2017-02-04 11:30 | Comments(4)
Commented by ツユクサ at 2017-02-05 21:01 x
こんにちは。損得ばかり考える人は自分の損得を考えているのでしょうが、そもそも「自分」とは誰でしょうか。これは根本的な問いで、簡単には分からないと思います。インドの古典「ヨーガ・スートラ」によると、全ての煩悩の原因は無明(無知)であり、これを滅ぼせば他の煩悩は自然に滅びるといいます。無明は「分からない」という消極的なことではなく、自分とは何であるかについて間違った観念を持っていることだそうです。
数十年、せいぜい百年の人生が自分の全てだと信じていると、いろいろな悪影響が出てきて当然にも思えます。谷間の百合さんがいつも言われる「輪廻転生」につながりますね。「おのれを知る」「汝自身を知れ」ということでしょうか。
Commented by michi-no-yuri at 2017-02-06 18:41
ツユクサさま
コメントありがとうございました。
何で一級の科学者や数学者が宗教、とくに仏教にいくのかということですが、科学に強いツユクサさまはどうお考えですか。
先のコメントにも書いたのですが、やはり、宇宙が法則だからではないでしょか。
きのう、「もの」を動かすのは人間(だけに限りませんが)の意思と燃料が必要ですが、人間が動くための意思は分かるものの燃料はなにだろうと考えていて、ツユクサさまには既知のことかもしれませんが、アインシュタインが次のように言っていることをたまたまネットで知りました。

『コーヒーカップ等の小さい物ですらある力が働かなければ動かす事は出来ません。考えてみてください。この宇宙には数多の星がありそれらを一定の軌道で運行させる、その力を出せるのは、神しかいません』
『私はこの宇宙の形すらほぼ把握している、しかしそれは時計の文字盤の針が何時になればどの位置にあるのかを知る程度の様なもの。それを動かしているであろう文字盤の裏のメカニズムについては解らない。それを解く鍵は東洋の哲学にこそあると思っている』(趣意)

わたしがアインシュタインと同じ疑問を持っていたとは、、!
Commented by ツユクサ at 2017-02-06 21:14 x
意思と燃料とは、面白い表現ですね。私には「意思」のほうが謎めいて見えます。「燃料」は単純に食物かなと思ってしまいます。食べ物が消化・吸収されてエネルギーが取り出されるのは空気中で物が燃えるのに似た現象なので、その意味では人体は自動車やロケットに似ています。違うのは人間(を含めた生物)はある程度までは意思をもって動きを制御できることです。意思は脳の働きかもしれませんが、脳の働きは何が制御しているのでしょうね。
アインシュタインは神格化され過ぎているところがあります。彼は20世紀初めの物理学の二大革命の一つ「相対性理論」を一人で作り上げた偉大な物理学者ですが、もう一つの大革命「量子力学」には最後まで反対しました。その理由として彼が言ったのは「神はサイコロをふらない」という名言で、ここにも彼の宗教観が表れています。しかし量子力学を作り上げた学者たちを見ても、ボーアは中国の易経に傾倒し、シュレーディンガーはインド哲学に熱中しています。湯川秀樹が中国の老荘哲学に引かれていたのも有名ですね。ご兄弟も中国史と中国文学の学者です。末の弟は戦争で病死されたそうです。
Commented by michi-no-yuri at 2017-02-06 22:09
ツユクサさま

コメントありがとうございます。
間違えていたようです。
おっしゃるように「意志」が謎です。
意識や意志はどこから来るかということでした。
それが、時計の針を動かしている「文字盤の裏のメカニズム」は解らないということですね。
「神はサイコロをふらない」というのは、分かります。
だから、東洋の哲学(仏教)になるわけですね。
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