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谷間の百合

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残酷過ぎる事実。

パールハーバーでの総理の演説を、わたしは何か長々と喋っているなと思っただけで、中味に耳を傾けようとはしませんでした。
ところが、評論家の保阪正康さんが、総理は戦争をポエムのように語っていたと言われていたのを知り、まさにそういうことだと思いました。
そこに、どれほどの悲しみ、苦悩、恐怖があるかを想像する能力が総理には欠けているからです。
その保阪さんが、特攻機の整備兵だったという老人のことを書いておられます。
突然訪ねてきた老人が語ったのは、飛び立つ日の隊員の真の姿でした。

「失神する、失禁する、泣きわめく。きれいなことを言って飛んで行った人もいたが、ほとんどは茫然自失だった。
それを私たち整備兵が抱えて乗せたんです。」


この話に衝撃を受けたのは、わたしもまた人間の真実から目を逸らして、特攻を一編の美しい民族の詩のように思ってきたからなのでしょう。
それにしても、なんと残酷な話でしょうか。


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こういう事実が表に出てくるのには、やはり70年という年月を必要としたのです。
つまり、主に遺族の気持ちを慮ってこれだけの時間が必要だったのだということだと思います。
親として、それが息子の真実の姿だと知ることは耐え難いことです。
余りにも残酷です。

そういう残酷な事実を隠して、特攻を美化してきたのが戦後から始まった特攻神話でした。
美化したのには、為政者の罪滅ぼしの気持もあったでしょうが、やはり、国として神話を必要としたのです。
遺書の多くは、父母を悲しませたくないという気持ちで貫かれていました。
逃れられない運命だとすると「笑って逝きます。」と書くしかないではありませんか。
いままで伏せられてきたのは、そういう隊員と遺族の間の美しい黙契を壊すことが憚られてきたからに違いありません。
もう、遺族も死に絶え、戦争経験者もごくわずかとなった今でないと話せないことがこれ以外にもたくさんあるはずです。

戦争がポエムでしかない総理は、特攻隊の世界記憶遺産への登録を考えていました。
稲田防衛大臣は、戦争は魂の進化だと言いましたが、わたしは、かれらの魂が鎮まり浄化されんことだけを祈ります。


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by michi-no-yuri | 2016-12-29 11:12 | Comments(0)
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