菅官房長官が「クマラスワミ報告書」の作成者であるクマラスワミ氏に、強制連行したという吉田証言が誤報だったことを受け、その部分の修正を申し入れたと会見で言っていましたが、それを拒否されたことには言及がありませんでした。
吉田証言などは、全体から見れば目にも止まらないような小さな問題です。
朝日はなぜそこまで卑屈になったのか、なぜ他のマスコミや保守派の人たちがそこまで朝日バッシングに血道をあげるのか、わたしには浅ましく愚かなことにしか思えません。
総理も日本の名誉が損なわれたと言っていますが、そもそも慰安婦問題のどこに名誉などという徳目が存在するでしょうか。
軍の関与があったとかなかったとか言われてきましたが、わたしは「関与」という言葉から軍は単に脇からそれに関わったものだと思っていましたが事実はまったく違っていました。
軍が主役でした。
軍がごく早い時期に立案し実行し管理してきたのです。
軍の意を受けた業者が近くに慰安所を建ててそこに兵が通っていたということではないのです。
すべては軍の管理下にあったのです。
ある文書に、慰安婦として徴用されたという記事がありましたが、「徴用」と「強制連行」とは何が違うのだろうと考えてしまいました。
わたしには言葉が違うだけのように思われました。
戦争末期には中学生や女学生も徴用されて軍需工場などで働かされたということですが、この徴用も半ば強制だったのではないでしょうか。
拒否することがはたしてできたでしょうか。
慰安婦は将官などより高い給料をとっていたと言う人もいますが、それだけ過酷な環境であったと同時に貴重な存在だったということだと思います。
先の記事にも引用したドイツの新聞記事の抜粋
「ドイツの閣僚が、のちに嘘だと判明した一つの証言のために、ホロコーストそのものがなかったと主張できるだろうか」
ということが、慰安婦問題で問われていることなのです。
強制連行など、ほんとうに目にも止まらない小さなことなのです。
橋下市長や籾井会長が言った「どこでもやっていたこと」ということを、仮に欧米や中韓が言ったとしたらどういう感じを受けますか。
そういう発言がいかに野蛮で傲慢で不快なものかが分かるのではありませんか。
(このごろ橋下市長の姿を見なくなりましたが、ご主人に見限られたのでしょうか)
ヨソはヨソ、日本は日本のことにだけ向き合っていればいいのです。
なんでヨソの国のことを言うのですか。
それで日本を正当化できるとでも?
自虐史観の克服を言う人が自虐史観の罠にはまっています。
自虐史観の克服とは一にも二にも過去の反省から始まるのです。
歴代政権が積み重ねてきた反省と謝罪を安倍総理は無視し足蹴にしました。
それをいいことだと思っているのです。
世界は安倍政権の戦前回帰の志向に不快感、嫌悪感、警戒感をもっています。
そのことが分かっているのでしょうか。
強制連行はなかったという小さなことを持ち出して、日本の名誉がどうのこうのと言っていることがわたしは惨めでなりません。
無残です。
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